Long November

主に国内外でのエンタメ関係の覚書、聖地巡礼その他(予定)。2020年、突然タイBL沼に頭から落ちました

舞台「ギヴン」がBLというよりも人間ドラマだった

昨年11月とかに観た舞台なので、だいぶ記憶薄れてるし今さら?って感じなのですが、先日アンコールイベントなるものに行ってちょっと記憶が蘇ったので。あと一緒に観劇してた友達に「ブログ書け」と言われたので。是非彼女のブログも読んでみて欲しい。熱量が凄いから。
aonticxx.hateblo.jp


見に行ったきっかけは本当に軽い気持ちで「ギヴン」が舞台化する、そして刀ステに出ていた川上くんと刀ミュに出ていた山﨑くんが出るらしいという情報を見かけたからでした。
公式のツイッターに上がってた秋彦と雨月の画像が「原作から抜け出してきたんか!?」というレベルだったというのもある。


こんなん見たら行くだろ、軽率に。

元々私はキヅナツキさんの作品が凄く好きで、商業誌のみならず恐らくかなり初期の同人誌時代からほとんどの作品を読んでいる人間なので。それで好きな役者出てたらまあ、見に行きますよね。
実はアニメは、映画は見たけど本編は流し見程度にしか見ていない。すみません、近いうちにちゃんと見ます。
それにしてもこんなに何回も舞台観ることになるとは思ってなかった。
最終的に無限列車編の煉獄さん並みに心を燃やして通うことになった。北千住に。

実は正直最初はそこまで舞台のクオリティには期待していなくて、というかBL作品の舞台化って難しいだろうなと思っていたので、「川上くんとしょーごくん見に行こうぜ」ぐらいのノリだったんですよ。
でも実際観てみたら想像以上に舞台として面白くて、「BL作品だから」と、言い方悪いかもしれないけど馬鹿にしている感じとかも全くなく、BLというよりも「(恋愛込みの)人間ドラマ」として解釈して描いている感じが本当にいい意味で予想外だった。

真冬役の有馬くん、初舞台・初主演だったらしいです。雰囲気とか歌声が原作読んで想像してた通りだった。何だろう、何故真冬というキャラはあんなファムファタールみたいな雰囲気があるのだろう。高校生なのに…

あと立夏役の澁木くんも凄い似てた。2.5次元でああいう普通っぽいキャラやるのって逆に難しいんじゃないかと思う。ギター経験者(バンド経験者?)だったそうで、ライブパートで確かに一番弾き慣れてる感があってかっこよかった。

春樹役の須永くんはかっこいいよりは可愛いに振り切れてた感じ。あの秋彦の写真めっちゃハイテンションで撮ってるシーン笑った。あと秋彦と終電逃して明け方に河川敷歩くシーンも好きだった。THE 青春て感じで。

秋彦役の川上くんは別の2.5の舞台(刀ステ)でも見てたんだけど、本当にこの役で来てくれてありがとう…あの見た目だからこそ許される役である。中途半端な見た目の男がやったらただのクズになる。そしてまさかそんな、舞台であそこまでのラブシーンをやってくれると思っていなかった。あと最後の春樹抱き締めるシーンで、脚なっっっっが!!って改めて思った。股下に人1人住めるレベル。

雨月役の山﨑くんは「これ以上ハマる役者いるか!?」と思ったし(顔とか声とかも含め)、実は別の2.5次元舞台(FGO)で見たときに、泣き顔が綺麗な子だなと思っていたので、もしかして制作の人、私と同じもの見てキャスティング決めた?などと考えてしまい。雨月も最後泣くシーンあるからさぁ……。ていうかアンコールイベントで山﨑くんが「原作見たとき、俺やんと思った」とか言ってた。凄いな、あのキャラを自分だと思えるってどんな人なんだ。

この舞台は一度新型コロナの影響で1年くらい延期になった舞台らしいんですが、延期になったことにより「夜が明ける」が追加され、2幕の内容も変更になったそうなので(当初の公演の時点ではアニメ映画が公開前だったとか)、個人的には今回の内容で見られて本当によかったなーと思えた。
ライブのシーンもめっちゃくちゃ練習したんだろうなってくらい上手かったし。生演奏なの凄くない?

本っ当にかなり記憶が曖昧ではあるんだけど、特筆すべき印象に残っているシーンとしては割りと後半の、雨月の「何かひとつ、残らないかな、音楽だけは残ればいいのに」という台詞が凄く好きで。
後から思い返したらこれ「パラダイス・キス*1でも似たような台詞があって、その台詞がパラキスの中で私は一番好きだったなと気付きました*2。昔からこういう関係性が好きなんだ、私は……

雨月と秋彦の恋愛は、きっと本当に「一生忘れられないような恋」で、秋彦と春樹の恋愛は「この人と一緒にいたら幸せになれる」という恋でもあるけど愛でもある、みたいなものなのではとの意見にとりあえず落ち着いた、自分の中では。

この辺の主に秋彦の心境の変化については、聖地巡礼という名のフィールドワークに行ったことによりかなり理解が深まった気がするというか、腑に落ちたので、次の記事ででもフィールドワーク編を書こうと思います。

ところで、この舞台「ギヴン」を一緒に観ていた友達と話していたときに何度か、「ハチクロは才能の話だったけど、ギヴンは恋愛の話だね」という話題が出ていて、本当にその通りだと思った。

ハチクロ*3は、才能とか自分の人生のための選択をした結果、恋を手離すキャラが出てくるけど、ギヴンでは唯一雨月が「秋彦といると自分は音楽に対して自由でいられなくなる」という理由で別れを切り出した。「一緒にいることがお互いのためにならない」と2人ともがわかっていて、でも結局完全には離れられなくて、あの地下室でズルズル関係を続けてしまったわけで。そして秋彦は雨月にとっての花本先生にはなり得なかったわけで…(この辺はハチクロを読んでください)。
というか改めて考えると秋彦も雨月も20、21歳とかなの?嘘だろ、まだほんの子供じゃないか……マジでどんな人生だよ。

最終的には秋彦の方が先に進んで、春樹を好きになり、音楽が楽しいと思えるようになり、次の恋とともに自分の人生も立て直せるようになったという感じなんだと思う。
それにしても秋彦と雨月が同居しているのが地下室で、秋彦と春樹の関係性(というか秋彦の心境)に変化があったのが明け方の河川敷って対比、素晴らしくないですか?

その一緒にギヴンの舞台を観まくっていた友達は、推しカプが別れるという展開を初めて経験したらしく、マジでずっと呻き苦しんでいた。チケット取ったのに直前まで「見たくない」とか言ってて笑ってしまった。観てからもやっぱりのたうちまわっていた。
彼女は「雨月(しょーごくん)」が好きなのと同時に、本人の内面にも刺さるものがあり、ああいう世界に一種の憧れみたいなものもあったため相乗効果で苦しんでいたらしい……なるほど……

私は逆に「男の子しか出てこない恋愛主軸のバンドもの」という本当に自分の人生にかすりもしないテーマだったが故に、一種の他人事としてそれはもう全力で楽しめました。私は特に才能がある人に対して憧れや劣等感を抱いたこともあまりなく(凄いとは思うが生きるの大変だろうしなと思ってしまう)、恋愛は人生の優先順位ではかなり下の方に位置しており、人間関係でもほぼ悩むことがないタイプだからかもしれない。
でもどうやったらあんな台詞を考え付くのか、あんな心理描写ができるのか、キヅナツキ先生の頭の中は見てみたい。山﨑くんが配信か何かで「(ギヴンの)原作を読んだとき、綺麗な絵なのに地べたを這いつくばるような人間の感情が描かれてる」と言っていたのを聞いて、そうそうそう!そうなんですよ!!!ってなった。
ギヴン以外のコミックスだったら「リンクス」とかもおすすめです。

また話が全然変わりますが、最後の方の秋彦と雨月の別れのシーン、雨月役の山﨑くんめちゃくちゃ泣いてた。特に千秋楽。
思わず双眼鏡でガン見した。
なんかこの辺りはいまだに上手く言語化できないのでとりあえず端折りますが、アンコールイベントの裏話的なので、号泣しながら舞台袖に戻ってきた雨月を見て真冬役の有馬くんが「しょーごくん、滝じゃん」と言ってたらしく笑った。真冬は「俺の気持ちなんかわからないよ!」って叫ぶシーンで山﨑くんに「(ポーズが)何スキージャンプしてんねん」って言われたらしい。何その語彙力、見習いたい。


そしてアンコールイベント行った後、もう本当に衝動的に円盤を予約して帰ってきました。
改めてライブパートの劇中歌が好きだなと思ったのと、俳優さんたちだけでなく制作側の人たちも凄く真剣に作ってくれた作品なんだなと思えて、手元に置いておきたくなったので。
オタクは好きになった作品には軽率に貢ぐ。

他にもまだまだ書きたいこといくらでもあるんだけど、これくらいにしておきます。収拾がつかなくなる。
とにかく、舞台「ギヴン」、アンコールイベントも含めて楽しかったよ!という話でした(アンコールイベントのことほぼ書いてないけど)。

*1:Paradise Kiss矢沢あいの漫画。言われてみると若干「ラ・ラ・ランド」に設定が似ている。ちなみに私は「ラ・ラ・ランド」はあまり好きではなかったのですが、ストーリーがどうのというわけじゃなくて、寿司食べたくて寿司屋入ったらステーキ出てきたみたいなあれだったんだと思う

*2:「遠ざかる車のエンジン音 助手席の固いシートの感触 むせるようなコロンの香り 熱い体温 冷たい指先 強い眼差し 甘くて低い声 あたしの名前を呼ぶ声 どれかひとつでいいから置いて行って」というモノローグがあってだな

*3:ハチミツとクローバー羽海野チカの漫画。有名すぎるので、オタクは大体知っているだろう前提でつい話してしまう